満たされない理由〜身体に残る未消化のショック〜

花

子どものころ。
学生時代。
社会人になりたての頃。

あるいは、引っ越し、進学、就職、昇進など—
環境が大きく変わったタイミングで受けた心のショックが、
十分に消化されないまま、
身体の奥に残っていることは決して珍しいことではありません。

当時はきっと必死で、

・順応しようとした
・期待に応えようとした
・弱音を吐かずに乗り越えようとした

そうして前に進んできたはずです。

けれどその過程で、
感じきれなかった緊張や戸惑い、怖さが、
どこかに置き去りになってしまうことがあります。

それは「過去」ではなく、「未完了の反応」

こうした体験は、
出来事としては過去のものでも、

神経や身体にとっては、
まだ終わっていない出来事として残ります。

その影響は、後になって
こんなかたちで現れることがあります。

・ある程度の成果や成功は手にしている
・生活は問題なく回っている
・周囲からも順調に見える

それでも—

・どこか噛み合わない感覚がある
・深い満足感がない
・「これでよかった」と思えない
・フルに生きている感じがしない

こうした感覚です。

これは性格の問題でも、努力不足でもありません。
心と身体の反応が、少しズレたまま走り続けている状態です。

「深層のバグ」は、意志では直せません

このズレを、

・考え方を変える
・前向きになる
・もっと頑張る

といった方法で解決しようとすると、
むしろ違和感が強まることがあります。

なぜならそれは、思考の問題ではなく、
神経や身体のレベルで起きている「未消化の反応」だからです。

言い換えればそれは、
人生を止めずに進み続けるために、
一時的にスキップされた処理のようなもの。

もしそれを「バグ」と呼ぶなら、
それは欠陥ではなく、
そのときのあなたが生き延びるために選んだ、
とても自然な応急処置でもあったのです。

セラピーは「立ち止まるため」ではなく「統合のため」

セラピーは、弱い人のためのものではありません。

むしろ、

・ある程度の成功を収めてきた人
・自分なりに人生を成立させてきた人
・それでもどこか満たされない感覚が残っている人

そうした人が、
心と身体のズレを静かに統合していくための時間です。

過去を掘り返すためでも、
問題を増やすためでもありません。

ただ、
そのとき感じきれなかった反応を、

今の安全な状態で、
身体の中でそっと完了させていく。

それだけで、
世界の感じ方が変わることがあります。

最後に

もしあなたが、

「うまくやれているはずなのに、どこか満たされない」
「理由はわからないけれど、しっくりこない」

そう感じているとしたら、
それはあなたに何かが足りないのではなく、
まだ統合されていない体験が残っているだけかもしれません。

セラピーは、人生をやり直す場所ではありません。

これまでのすべてを、
ちゃんと身体に回収していくための場です。

そしてそれは、
特別なことをしなくても、
ただ少し立ち止まり、
身体の感覚に静かに触れていく時間の中で
自然に起きていくものでもあります。

もしそうした時間を、
ひとりではなく誰かと共に持ちたいと感じられたときは、
セッションというかたちも、ひとつの選択肢としてあります。

必要なタイミングで、
無理のないかたちで、
どうぞ思い出していただけたらと思います。

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